ペットホテルのご利用について

Eita Kitazawa
8月3日
読了時間: 4分

僕が小学校のころの水泳の授業事情は、たしか、水に入って顔を水につけるところがスタートで、次は水の中に潜って、その次は水に浮かぶ練習をしたような覚えがあります。そしてビート板を使って泳ぐ練習をして、次はビート板を使わずに泳ぐ練習をして、ビート板を使わずに２５メートル泳げたら赤い水泳キャップから白い水泳キャップに変更になったような記憶があります。

なかにはいきなり泳げる子もいると思うけれど、ふつうはいきなり泳げるわけではなく順番を経て泳げるようになっていくものだし、順番を経て練習しても泳げない子もいるし、練習しても泳げるようにならなかったとしても別にそれがおかしなことでもないし、泳げないことがいけないわけでもありません。

ペットホテルでワンちゃんをお預かりするのも水泳と同じところがあって、練習をしないと、ワンちゃんはペットホテルでお預かりができるようにならないところがあります。もちろん、練習をしなくてもいきなり泳げる子がいるのと同じように、いきなりペットホテルで預けられても大丈夫なワンちゃんもいるけれど、ふつうは練習を経てペットホテルで預けられるように育っていきます。そしてその練習のことを、犬の社会化と言います。

最近はトリミングサロンではなく自宅でのみ愛犬のシャンプーをしている飼い主さんが増えましたが、そのようにしてるとそのワンちゃんは預けられた経験がないのでペットホテルで預けられるようには育てられていないわけです。その状態でペットホテルをご利用しようとすると、水の中に入って顔を水につけるとかそういうのをすっとばしていきなり２５メートルを泳がせようとしているのとまったく同じことをさせようとしていることになります。もちろんいきなり泳げるワンちゃんもいるけれど、ほとんどはしどろもどろになりながらもがきながら無理矢理２５メートルお泳ぐことになります。２５メートル泳げなかったら途中で溺れてしまうので、そのときには飼い主さんにお迎えに来てもらうしかないのです。

どういう環境でお預かりするのですか？　散歩はしてもらえますか？　どのようなプールですか？　とそのようなお問い合わせがありますが、そのワンちゃんはクレートトレーニングができてますか？　他人が散歩しても大丈夫なワンちゃんですか？　そのワンちゃんを泳げるように育てましたか？　と、そのように聞き返すしかなかったりします。なぜそのようなお問い合わせになってしまうのかというと、伴侶犬ではなく愛玩犬として犬を飼っている飼い主さんが多いからです。愛玩犬はかわいがるだけの存在として犬を飼っていることになるのですが、たいせつにかわいがることはそれは悪いことではありません。伴侶犬として犬を飼うと育てようとするので、順番を経て２５メートルを泳げるように犬を飼ってたりします。

愛玩犬として犬を飼うのと伴侶犬として犬を飼う違いをわかりやすく伝えると、恋人の関係と夫婦の関係の違いに近いような気がします。

８月なのでペットホテルのお問い合わせが多いですが、地域柄、こちらにご旅行に来られてペットホテルをご利用するパターンが多いわけですけれど、そういうパターンだと、事前にお預かりするワンちゃんに会えるわけではないので、今までのペットホテルのご利用回数と、トリミングサロンのご利用があるかどうかを伺うのですが、どっちの実績もないとなると、ペットホテルでお預かりができるようになっているワンちゃんなのかどうかの判断ができなくてすごく困ってしまいます。当店のペットホテルをご利用していただいたけれどそのワンちゃんがペットホテルでお預かりできるように育っていないことが過去にありましたが、そういうときは飼い主さんにお迎えに来てもらうしかないので、そのようにならないように、最低限でいいのでペットホテルで預けても大丈夫なように育てていただけるといいと思います。