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執筆者の写真Eita Kitazawa

保護犬事情

シーズーのチコちゃん。愛想がよくって元気な女の子。いわゆるお転婆娘のチコちゃんです。


チコちゃんは元保護犬です。

保護犬って言うと、いままで虐待されていたとか、ちゃんと面倒みてもらえなかったとか、ひどい目にあってきたとか、そう思われがちだし、虐待した奴絶体にゆるさない! だとか、愛情をもらえてなかったなんてひどすぎる! だとか、ひどい目にあわせた奴を同じ目にあわせてやる! だとか、そんな憎しみにみちた言葉が出てくることが多いような気がします。これらの言葉を、ふと冷静にみてみると、かなり品がなく、むしろちょっと不安になるくらいのそんな言葉のような気がするところですけれど。

もしほんとうに虐待されていたとしたら、これらの言葉は正論になるのかもしれませんが、正論という暴力、という言葉をときどき聞くことがありますけれど、まさにこういうことが正論という衣を着た暴力と言うことになるのかもしれません。こういうときって、だいたい言い方が下品になるし、暴力のはけ口を正当化するために、正論が言えるときを待ち構えているように思えてしまうし、ほんとうは、保護犬のためだとかそんなの一切関係なく、ただ愚痴を言いたいだけなのかと思ってしまいます。

「そもそもこの文章自体が正論という暴力になってませんか?」と、そう思った方がいるかもしれませんが、まさにそういうことになっているわけですね。だからこういうことって、なに気に気がつきにくいところかもしれません。

それでは根本的に虐待がほんとうに多いのかどうなのかということが気になるところですが、ぼくの感覚では、虐待はほんとうは少ないような気がします。

世の中で言われているくらい虐待が多かったとしたら、この世の中を生きていくのは、ものすごくたいへんなことになっているはずです。でも現実は、普段のほほんと生活している人がほとんどのはずだし、背後からナイフで刺されるかもしれないって思いながら生きてはいないはずです。そういうことをふまえて考えると、虐待ってきっと少ないような気がします。

ではなぜこんなに虐待だと騒がれているのかというと、それはさっき言ったとおり、暴力のはけ口が言えるように、正論が言える状況を探しているような気がします。だから、保護犬が虐待されていたと言われるときって、実際にその現場を見たわけではなく、そのほとんどが憶測だったりします。

自分自身の経験では、ほんとうに傷つけるような虐待を受けたワンちゃんに今まであったことはありませんが、ネグレクトだったり飼い主さんの無知だったりとかで、かわいそうな目にあったワンちゃんには何頭か会ったことがあります。

だから、保護犬だからといって、すべてのワンちゃんがかわいそうな過去を背負っているわけではありません。かわいそうな目にあわせやがって! って憎しみを抱きながらそのワンちゃんを飼うのか、それとも、ものすごく大切にされていたのに、飼い主さんが亡くなって保護犬になってしまったのかもしれないと思いながら、温かい思いでワンちゃんを飼うのか。どっちも憶測かもしれませんが、どっちを選ぶのかはその人次第です。



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